AIの計算は、足し算が合っているかだけでなく、元の作業や数値を正しい回数だけ使っているかも確認しましょう。
ChatGPTに作業を2人へ振り分けてもらったら、どちらも90分。合計も合っているので、そのまま担当表として渡してよいでしょうか。
答えは、まだです。同じ作業が2回入り、別の作業が抜けていても、所要時間が同じなら合計だけは一致します。計算結果が正しいことと、依頼の条件を満たすことは別です。
ChatGPTの利用者からも、数値を使った依頼で、指定された数字を許可された回数より多く使う回答が出たという報告がありました。投稿中のテストは数のパズルであり、業務の実績ではありません。ここでは、その違いを仕事で確かめるために、編集部が作成した架空の作業割当を使います。
この記事でわかること
- 見落とし:合計が合っていても、作業の重複・欠落は残ることがあります。
- 検算:元のID、使用回数、時間の合計、条件を分けて確認します。
- 直し方:正解らしい数字を求め続けず、満たせない条件は判断者へ戻します。
合計180分でも、作業を全部割り当てたとは限らない
次の6件の事務作業を、担当1と担当2へ分けるとします。各担当の枠は90分、作業の分割はしない、全件をそれぞれ1回ずつ割り当てる条件です。所要時間は説明用の固定値であり、現場の実測時間ではありません。
| 作業ID | 作業 | 所要時間 |
|---|---|---|
| A | 資料の分類 | 35分 |
| B | 発送先一覧の確認 | 25分 |
| C | 入力内容の照合 | 40分 |
| D | 備品の整理 | 20分 |
| E | 作業メモの整理 | 30分 |
| F | 引き継ぎ資料の準備 | 30分 |
合計は35+25+40+20+30+30=180分です。ここで、次のような割当案を受け取った場面を考えます。これも誤りの見つけ方を説明するために作った例で、実際のChatGPT出力ではありません。
- 担当1:A・B・E → 35+25+30=90分
- 担当2:C・D・E → 40+20+30=90分
足し算は合っています。しかし、Eが2回あり、Fがありません。「2人とも90分」「全体180分」の二つだけでは、不備を検出できません。値が同じ作業でも、IDが違えば別の作業です。
検算は「元データ・回数・式・条件」を分ける
1.元のIDと時間を固定する
AIの返答から新しく一覧を起こすのではなく、最初に渡した作業表を比較の基準として残します。出力されたIDが原本にあるか、所要時間が変わっていないかを照合します。AIが都合よく「30分の作業を20分に短縮」していれば、それは計算ではなく条件の変更です。
2.各IDの登場回数を数える
担当別の一覧を縦に並べ、AからFが何回あるかを数えます。今回の条件では、各IDがちょうど1回なら、この項目は合格です。0回は未割当、2回以上は重複になります。
| 確認項目 | 誤った例の結果 | 判定 |
|---|---|---|
| 元表にないID | なし | この項目は合格 |
| 各IDを1回ずつ使用 | Eは2回、Fは0回 | 不合格 |
| 担当ごとの時間 | 90分・90分 | 時間の上限だけは合格 |
| 全体の所要時間 | 180分 | 合計だけは合格 |
少数なら紙にチェックを付けるだけでもできます。Excelで割当後のIDがA2:A7に1行ずつ入っている場合、=COUNTIF($A$2:$A$7,"E")でEの回数を数えられます。Microsoftの公式説明でも、COUNTIFは条件に一致するセルを数える関数です。別のIDも同様に照合し、範囲の指定漏れを確認します。
3.合計は電卓や表計算で再計算する
使用回数を確認した後、原本の時間で担当ごとの合計を計算します。AIが書いた「90分」をそのまま足すのではなく、35、25、30という元の値に戻るのがポイントです。
担当1の時間をB2:B4、担当2をB5:B7に置いたなら、=SUM(B2:B4)と=SUM(B5:B7)などで確認できます。値の入力範囲とIDの対応は人が点検してください。関数を使うこと自体が、転記ミスを防ぐ保証にはなりません。
4.最後に仕事の条件へ戻る
担当2のEをFへ直せば、この例ではA・B・Eが90分、C・D・Fが90分で、全件を1回ずつ割り当てられます。編集部の数値確認では、独立したPython計算で、IDの回数・担当別合計・上限の3点を照合しました。実際の業務時間を保証する検証ではありません。
現場では「この作業は担当1しかできない」「先にAを終える必要がある」といった条件もあります。その場合は、時間が収まっただけで採用せず、資格・順序・締切などを別の列で確認します。

「もっと考えて」で条件が変わる前に止める
さらに10分の作業Gを追加すれば、全体は190分です。2人それぞれ90分、合計180分の枠に全件を入れることは、この固定時間の前提ではできません。
ここで「必ず90分に収めて」と繰り返すと、どこかの作業を抜く、時間を変える、重複したIDで帳尻を合わせるといった案を見落としやすくなります。担当枠を増やす、期限を変える、作業範囲を減らす判断は、人が条件として決め直す必要があります。
AIへ再依頼するときは、「Eが2回、Fが0回でした。元の所要時間は変えず、各IDを1回ずつ使って修正してください。全条件を満たせない場合は、満たせない条件を示してください」と、検出した不備を具体的に戻します。修正案も同じ検算表で確認します。
ChatGPTがコードで計算した場合も、入力と条件は確認する
OpenAIの公式ガイドは、データ分析の一部でPythonコードを実行すること、結果を使う前にコード・出力・前提を確認することを案内しています。すべての返答が必ずコードで計算されるわけではありません。
コードを読めない場合でも、この例のような小さな割当なら、元のIDへのチェックと電卓で確かめられます。AIへもう一度「合っていますか」と聞くことだけを、独立した検算の代わりにしないようにしましょう。
Excelに貼った式そのものがエラーになる場合は、関数・バージョン・参照先を確認する既存記事を参照してください。本記事は、式が通り、数字が出ているのに、依頼条件を満たしていない場合の点検です。
実務上の注意
実際の作業時間は人や環境によって変わります。ここでの固定値は検算の説明用です。休憩、移動、作業の切り替えなどを必要に応じて別途見積もり、表にない負担を勝手にゼロとしないでください。
COUNTIFは大文字・小文字を区別しません。IDに余分な空白や表記揺れがある場合も結果に影響します。今回のA〜Fのような単純なIDで手順を確かめ、実務データの識別ルールに合わせてください。入力してよい情報の範囲は、社内ルールと利用環境の条件に従います。
まとめ
AIの作業割当は、合計だけでは検品できません。元のIDと時間、各IDの回数、担当別合計、仕事の条件を別々に確認します。数が合うように条件を変えさせるのではなく、条件を満たせるかを確かめる。この順序が、もっともらしい担当表の重複・欠落を見つける助けになります。
よくある質問
合計が元データと同じなら、漏れはないと考えてよいですか?
同じ時間の作業が入れ替わっていたり、重複と欠落が相殺したりする場合があります。IDごとの回数を別に確認してください。
別のAIにも確認させれば十分ですか?
確認の補助にはなりますが、独立した正解保証にはなりません。原本のID・値と、電卓や表計算での計算結果を照合する工程を残します。
コードが正常終了したら正しいですか?
入力値、対象範囲、条件が間違っていれば、コードが実行できても誤った答えになります。実行の成功と、依頼条件の合格を分けて見ます。
出典・参考情報
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