Googleは2026年7月21日、Gemini 3.6 Flash、Gemini 3.5 Flash-Lite、Gemini 3.5 Flash Cyberの3モデルを発表しました。
一般企業が主に確認したいのは、複雑な処理に向くGemini 3.6 Flashと、大量処理を低コストで行うGemini 3.5 Flash-Liteです。
Gemini 3.5 Flash Cyberは、ソフトウェアの脆弱性を調べるセキュリティ専門モデルで、一般利用者向けには公開されていません。
この記事では、3.6 FlashとFlash-Liteの違い、API料金、既存システムから切り替える際の注意点を初心者向けに整理します。
※本記事は2026年7月22日時点のGoogle公式情報をもとにしています。モデル名、料金、提供範囲、利用上限、対応機能は変更される可能性があります。
この記事でわかること(結論)
- Gemini 3.6 Flash:複雑な資料分析、コーディング、複数段階の処理を効率よく進める主力モデル
- Gemini 3.5 Flash-Lite:文書の分類や情報抽出などを大量・低コストで処理するモデル
- API料金:3.6 Flashは従来モデルより出力単価が下がり、Flash-Liteはさらに安く設定されている
- Gemini 3.5 Flash Cyber:政府機関や信頼できるパートナーを対象とした限定モデル
Googleが発表した3モデルの違い
3つのモデルは同じGeminiシリーズですが、対象となる仕事と利用者が異なります。
| モデル | 主な役割 | 主な提供先 |
|---|---|---|
| Gemini 3.6 Flash | 複雑な資料分析、コーディング、複数段階の処理 | Geminiアプリ、Gemini API、Google AI Studio、Vertex AIなど |
| Gemini 3.5 Flash-Lite | 文書の分類、情報抽出、データ整形などの大量処理 | Geminiアプリ、Gemini API、Google AI Studio、Vertex AIなど |
| Gemini 3.5 Flash Cyber | ソフトウェアの脆弱性の発見・検証・修正 | 政府機関と信頼できるパートナー向けの限定パイロット |
Gemini 3.6 FlashとGemini 3.5 Flash-Liteは、試験版ではなく、本番環境で利用できる一般提供版です。一方、Flash CyberはCodeMenderを通じた限定パイロットとして提供される予定です(出典:Google公式ブログ、2026年7月21日/Google AI for Developers、2026年7月21日)。
Gemini 3.6 Flashは何が変わったのか
Gemini 3.6 Flashは、従来のGemini 3.5 Flashよりも、複雑な作業を少ない手順と出力で完了させることを目指したモデルです。
複雑な処理とコーディングを強化
Googleは、Gemini 3.6 Flashについて、コーディング、知識を使った業務、画像やPDFを含む複数形式の情報処理を強化したと説明しています。
長い資料から必要な情報を抽出して報告書を作る、グラフを読み取る、コードを実行しながら修正するといった、複数の工程を含む作業が主な対象です。
入力できる形式はテキスト、画像、動画、音声、PDFで、最大約100万トークンの情報を扱えます(出典:Gemini 3.6 Flash公式モデルページ、最終更新2026年7月21日)。
出力トークンと処理の回り道を削減
Googleによると、外部評価の一例では、Gemini 3.6 Flashの出力トークン数はGemini 3.5 Flashより17%少なくなりました。複数段階の処理でも、推論や外部ツールの呼び出し回数を減らすよう改善されています。
トークンとは、AIが文章や情報を読み書きするときに数える単位です。APIでは使用したトークン量に応じて料金が決まるため、少ない出力で作業が終われば、処理費用を抑えやすくなります。
ただし、17%という数値は特定の評価結果であり、すべての業務で同じ割合の削減を見込めるわけではありません。
API料金はどう変わったのか
Gemini 3.6 Flashは、Gemini 3.5 Flashと入力単価は同じですが、出力単価が9.00ドルから7.50ドルへ下がりました。
以下は、100万トークンあたりの標準API料金です。
| モデル | 入力料金 | 出力料金 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| Gemini 3.5 Flash | 1.50ドル | 9.00ドル | 従来の主力モデル |
| Gemini 3.6 Flash | 1.50ドル | 7.50ドル | 複雑な処理、資料分析、コーディング |
| Gemini 3.5 Flash-Lite | 0.30ドル | 2.50ドル | 分類、抽出、データ整形などの大量処理 |
Gemini 3.6 Flashの出力単価は、従来モデルより約16.7%低く設定されています。Gemini 3.5 Flash-Liteは、3.6 Flashと比べて入力単価が5分の1、出力単価が3分の1です。(出典:Google公式「最新のGeminiモデルを使用する」、2026年7月21日)
前章の「出力トークン17%減」は使用量の比較であり、約16.7%は出力単価の比較です。意味の異なる数値として分けて捉える必要があります。
APIの仕組みについては、APIとは?ツール連携で仕事がラクになる仕組みを初心者向けに解説で詳しく紹介しています。
Gemini 3.5 Flash-Liteはどんな処理に向くのか
Gemini 3.5 Flash-Liteは、一件ごとの複雑さよりも、同じ形式の処理を大量に実行する業務に向いています。
日々の業務では、次のような使い方が考えられます。
- 問い合わせメールの分類:営業、採用、請求、問い合わせなどへ振り分ける
- 請求書の情報抽出:日付、金額、取引先名を決められた形式で取り出す
- 商品データの整理:説明文からカテゴリや特徴を抽出する
- 短い要約の一括作成:議事録やレビューを同じ形式でまとめる
Flash-Liteは、単に性能を落とした廉価版ではありません。処理内容に応じてAIが考える量を調整でき、大量処理で速度と費用を優先しやすい設計です。
3.6 FlashとFlash-Liteはどう使い分けるのか
複数の条件を判断する仕事には3.6 Flash、決まった形式の処理を大量に繰り返す仕事にはFlash-Liteが基本的な選択肢です。
| 仕事の内容 | 候補モデル |
|---|---|
| 長い資料を読み、複数の条件を踏まえて報告書を作る | Gemini 3.6 Flash |
| コードを作成し、実行結果を確認しながら修正する | Gemini 3.6 Flash |
| 大量のメールや書類を分類する | Gemini 3.5 Flash-Lite |
| 請求書などから決まった項目だけを抽出する | Gemini 3.5 Flash-Lite |
| Geminiアプリで要約やアイデア出しをする | 画面上で選べるFlashまたはFlash-Lite |
APIで導入する場合は、匿名化した同じデータを両モデルへ入力し、正確さ、処理時間、トークン数、人が修正した時間を比較してから決める方法が適しています。
AIモデル全般の選び方については、AIモデルをタスクの重さで使い分ける判断の型で整理しています。
実務上の注意
Geminiの新モデルを利用する際は、料金体系、APIの変更点、公式ページ間の仕様差を確認してください。
API料金とGeminiアプリの料金は別
今回紹介した1.50ドル、7.50ドル、0.30ドル、2.50ドルという金額は、Gemini APIを使う場合の従量料金です。
通常のGeminiアプリは別の料金体系で、プランごとに利用上限が設定されています。Geminiアプリを使うたびに、100万トークン単位のAPI料金がそのまま請求されるわけではありません(出典:Geminiアプリ ヘルプ、2026年7月22日確認)。
API移行では廃止予定の設定を確認する
Googleの移行ガイドでは、Gemini 3.6 FlashとGemini 3.5 Flash-Liteで、temperature、top_p、top_kなどの設定が非推奨とされています。
AIの回答冒頭をあらかじめ入力し、続きを生成させる形式にも対応していません。既存システムで該当する設定を使っている場合は、モデル名だけを変更せず、APIへの送信内容も確認してください(出典:Google公式移行ガイド、2026年7月21日)。
Flash-LiteのComputer Use対応は実装前に確認する
2026年7月22日時点では、Googleの最新モデルガイドと公式ブログがFlash-LiteのComputer Use対応を案内する一方、Flash-Liteの個別モデルページでは「未対応」と記載されています。
公式ページ間で表記が一致していないため、Flash-Liteで画面操作を行うシステムは、Gemini APIやGoogle AI Studioで実際の動作を確認してから設計してください。Computer Useの仕組みは、Gemini Computer Useとは?画面操作AIでできることと注意点で解説しています。
まとめ
Gemini 3.6 Flashは、資料分析やコーディングなど、複数の判断を伴う作業を効率よく進めるモデルです。Gemini 3.5 Flash-Liteは、分類や情報抽出などを大量・低コストで処理する用途に向いています。
APIで導入する企業は、単価だけで決めず、実際の業務データを使って精度、処理時間、修正時間を比較することが重要です。
よくある質問
Gemini 3.6 Flashは無料で使えますか?
GoogleはGeminiアプリでも提供すると案内しています。ただし、表示されるモデルや利用上限は、プランや提供状況によって変わる可能性があります。API利用は別の料金体系です。
Gemini 3.6 Flashと3.5 Flash-Liteはどちらが安いですか?
API単価はGemini 3.5 Flash-Liteの方が安く設定されています。ただし、複雑な処理では3.6 Flashの方が少ない再実行で完了し、全体の費用を抑えられる場合があります。
Geminiアプリを使うだけでもAPI料金がかかりますか?
通常のGeminiアプリ利用に、APIの従量料金がそのまま加算されるわけではありません。Geminiアプリのプラン料金とAPI料金は別に管理されています。
既存のGemini 3.5 Flashからすぐ移行すべきですか?
一律に移行する必要はありません。同じ入力内容で精度、速度、出力トークン数、修正時間を比較し、APIの設定変更も確認してから切り替えてください。
関連する用語・出典
- API:AIの機能を、自社のシステムや業務ツールから利用するための接続方法
- トークン:AIが文章や情報を読み書きするときに数える単位
- GA:General Availabilityの略。試験提供ではなく、本番利用できる一般提供段階
- CodeMender:Googleが開発する、ソフトウェアの脆弱性を発見・修正するAIエージェント
- Google公式発表:Introducing Gemini 3.6 Flash, 3.5 Flash-Lite, and 3.5 Flash Cyber
- 公式仕様・料金:最新のGeminiモデルを使用する
※本記事は2026年7月22日時点のGoogle公式情報をもとに作成しています。API料金、モデル仕様、対応機能、利用上限は変更される可能性があります。導入時はGoogleの最新ドキュメントをご確認ください。
運営元について
AXメディアは、株式会社ジーズ AX事業部が運営しています。AX事業部では、AI研修・AIエージェント開発・ローカルLLM開発・補助金/助成金の活用支援を提供しています。

