AI購買で購入をやめるのはなぜ?NTTデータ調査と企業の確認点

白とオレンジのカートに並ぶAIの案内と購入条件の2枚の票で価格、対象、申込先を照合するイメージ

AIに薦められた後、公式サイトで条件が変わって見えたら、購入を見送る人もいます。AI購買の調査を読むときは、推薦される量に加えて、その先の情報のつながりを点検しましょう。

本記事でいう「AI購買」は、AIの回答や提案を、商品・サービスの情報収集、比較、購入判断に活用することを指します。AIが本人に代わって自動で決済・契約する場合だけを意味するものではありません。

たとえば、情報の食い違いを説明する架空の場面として、「AIには送料込みと聞いたのに、購入画面では別料金」「薦められたプランが公式サイトで見つからない」といったケースが考えられます。これらは調査回答者の発言を引用したものではありません。AI経由で商品を知ってもらえても、申し込みまで進むとは限りません。

NTTデータが2026年9月30日に公表した「GenAI生活者インサイトレポート2026 ISSUE 02」は、AI利用経験者の購買行動と、企業との接点で生じる困りごとを調べています。注目したいのは、困った経験がある人の66.6%が、それを理由に購入・契約をやめた経験があると回答した点です。すべての購入者の66.6%が離脱したという数字ではありません。NTTデータの調査発表

この記事では、Web・EC・営業企画の担当者に向けて、数字の読み方と、AIから公式サイトや窓口へ移った後に確かめたいことを整理します。後半の点検手順と架空例は編集部の提案です。

この記事でわかること

  • 調査の対象:全国の15〜69歳のAI利用経験者3,948人へのオンライン調査です。
  • 数字の読み方:AI提案の採用と、困りごとによる購入中止では回答者の範囲が違います。
  • 見直す場所:価格・適用条件・商品名・申込先を、AI回答と自社の接点で照らし合わせます。
  • 改善の判断:案内の整備と購入率の変化を分け、修正後に同じ条件で確認します。

AI購買の66.6%は、誰の回答なのか

この調査は2026年8月28〜31日に実施され、性別・年代を均等に割り付けています。対象は一度でもAIを使ったことのある人で、日本の生活者全体をそのまま代表する数字ではありません。主な結果は次のように母数を添えて読む必要があります。調査実施概要と設問

確かめたこと 結果 対象となる回答者
AIの提案をそのまま採用した経験 69.7% 購入・利用時にAIを使った2,387人
AIと企業の接点の連携で困った経験 37.9% 調査対象の3,948人
その困りごとで購入・契約をやめた経験 66.6% 困った経験がある1,497人

経験のある人の割合を、購入ごとの離脱率にしない

たとえば社内会議で「AIから来たお客さまの3人に2人が買わない」と説明すると、別の意味になります。調査は購入の一件一件を追跡したものではなく、回答者が過去にその経験をしたかを聞いています。同じ人が多くの商品を問題なく買っていても、購入をやめた経験が一度あれば回答に含まれます。

実務で使うなら、「AI経由の購入率は低い」と決めつける材料よりも、「AIの案内と自社の情報が違うとき、顧客が止まる可能性を調べる」ための手がかりにするのが妥当です。

価格の食い違いだけが、困りごとではない

発表では、AIの回答と公式サイト・窓口の情報が食い違うことに加え、申し込みや購入へ移るために別のサイト・アプリへ移動する不便さも挙げられています。情報が正しくても、次の行動が分からなければ途中で止まりえます。企業との接点で生じた困りごと

そこで点検は、AI回答の正誤だけで終わらせません。顧客が知りたい条件を確認でき、その条件の商品へ進めるかまで、一つの流れとして追います。

AI回答、公式ページ、申込画面、窓口の4か所で、価格・条件・商品名・申込先を照合する点検図
AIの正誤だけでなく、自社の接点同士がそろっているかも確かめる

AIの推薦から申し込みまで、4か所を照合する

以下は編集部が作成した点検例です。AIに自社名を出してもらう施策の前に、すでに案内されている商品の中から一つ選びます。最初から全商品を調べるより、問い合わせの多いプランや直近で条件を変えた商品を追うと、確認範囲を決めやすくなります。

照合する場所 よくある確認項目 社内で相談する相手
AIの回答 商品名、価格、対象者、出典、回答日時 Web・マーケティング担当
公式の商品ページ 税込表示、必須費用、適用条件、更新日 商品・料金の管理担当
申込・購入画面 選択した商品、総額、必須オプション、期限 EC・システム担当
窓口・営業の案内 FAQ、説明資料、現場で伝える条件 営業・顧客対応担当

価格の数字だけでなく、契約期間や商品名も照合する

たとえば架空の「法人向け月額プラン」で、AIは月額3,000円と回答し、公式ページには同じ額があっても、申込画面では年契約が前提だったとします。このとき問題は数字の誤りだけでなく、契約期間が途中で初めて見えることです。月額と年額、支払周期、対象人数を並べて確認すると、修正箇所を具体的にできます。

別の例では、AIが紹介した商品名は旧称でも、リンク先の商品が同じとは限りません。名前が変わっただけなのか、旧プランが終了したのかを区別します。現在の商品への案内を追記する場合も、「後継なら条件も同じ」と受け取られない説明が必要です。

公式のどこを正とするか、先に決める

商品ページ、料金表PDF、キャンペーンページに違う条件が残っていたら、まず自社の情報をそろえます。AIの回答だけ直そうとしても、参照元に古い案内が残ると原因の切り分けが難しくなります。

価格や期限を管理する部署を確認し、正しい条件と適用開始日を一つの記録にまとめます。Web担当が判断できないキャンセル条件や対象者の範囲は、担当部署の確認を待ちます。説明を分かりやすくする作業と、条件そのものを変える決定を混ぜないことが重要です。

AIには「改善案」より先に、食い違いの整理を頼む

複数ページを見比べる作業はAIで補助できます。ただし、最初から「売れる文章に直して」と頼むと、確認したい条件まで言い換えられるおそれがあります。まず、与えた資料に何が書いてあるかを分けて整理します。

公開情報を照合するときの依頼例

以下のAI回答、公式商品ページ、料金表、申込画面の公開情報を照合してください。
商品名・価格・追加費用・対象者・契約期間・申込先ごとに、各資料の記載を分けて整理してください。
一致、不一致、資料不足を区別し、根拠となる文章とURL・確認日を添えてください。
どの情報が正しいかを推測で決めず、担当者に確認すべき点を最後に列挙してください。
資料にない条件や改善効果は作らないでください。

これは編集部の依頼例で、特定のAIの動作や効果を保証するものではありません。ログイン後の顧客情報、個別見積もり、契約書などを渡す前には社内ルールを確認し、最初は公開情報だけで試します。

再現条件と担当を残す

「AIが間違えた」という報告だけでは再調査が進みません。使ったAI、質問文、回答日時、示された出典、確認した商品を残します。回答が後で変わることもあるため、保存が許される範囲で回答内容も控えます。

修正一覧には「公式ページの年契約条件を追記」「窓口の旧PDFを差し替え」のように、対象と確認者を書きます。外部のAIが生成した文章を自社で必ず変更できるとは限りません。自社で直せる情報と、提供元への報告が必要な問題を分けると、対応が止まりにくくなります。

実務上の注意:自己申告の結果を売上予測へ変えない

調査は、情報の食い違いを直せば何%売上が増えるかを実測したものではありません。原因を本人がどう受け止めたかは重要ですが、商品への関心、価格、比較相手、在庫状況などの影響を切り離した実験とは違います。

また、AIの推薦を採用した人が多いことと、決済や契約をAIへ自動で任せたいことは別です。顧客が比較にAIを使ったからといって、本人の確認を省いた申し込みを求めているとは読めません。購入の支援と、購入の権限を渡すことを区別しましょう。調査サマリ

修正後は同じ質問と導線で確認する

案内を更新したら、元の質問でAIに確認し、同じ商品ページと申込画面をたどります。回答の変化だけで完了にせず、公式情報の条件がそろったか、顧客が迷った点を解消できたかを確かめます。AIの回答は揺れるため、一回の結果だけで完全に直ったと判断しません。

問い合わせ件数や申込完了率を追う場合は、対象期間、商品、変更箇所を記録します。キャンペーンや流入量も同時に変わっていれば、数値の改善をすべて今回の修正の効果とは言えません。まず「旧条件を案内しなくなった」「必要な条件が申込前に確認できる」といった、直接確認できる改善を評価しましょう。

AIに推薦される入口の話は、AIの飲食店推薦に関する調査の読み方でも扱っています。今回の点検は、その後に公式情報へ移った顧客が迷わず判断できるかが中心です。

まとめ:薦められた商品の「次の一歩」をたどる

AI購買の調査から考えたいのは、推薦された回数だけでは見えない購入前のつまずきです。66.6%という数字は、困った経験がある人の回答であり、自社の離脱率ではありません。

まず一つの商品について、AI回答、公式ページ、申込画面、窓口の条件を並べてみましょう。価格や適用条件をそろえ、次に進む場所を明確にする。修正後も同じ流れで確認することが、担当者が今日から取り組める一歩です。

よくある質問

日本人の66.6%がAI経由の購入をやめたのですか?

いいえ。調査対象のうち、AIと企業の接点の連携で困った経験がある1,497人の66.6%が、その経験を理由に購入・契約をやめたことがあると回答しました。日本人全体や全購入件数の割合ではありません。

AIに薦められる対策を優先すべきですか?

この調査だけで施策の優先順位は決められません。すでにAIや窓口で案内される商品の条件が食い違っているなら、正しい公式情報と申込先を整理するところから点検できます。

情報を直せば、AIの回答もすぐ変わりますか?

必ず即時に変わるとは限りません。AIが参照する情報や回答は変動します。自社の修正とAI回答の再確認を分け、同じ質問・商品・確認日時を記録して確かめてください。

出典・参考情報

本記事は2026年10月2日時点の公開調査をもとに作成しています。業務の点検例・依頼文は編集部の提案であり、売上向上を実測した結果ではありません。

著者:AXメディア編集部

運営元について

AXメディアは、株式会社ジーズ AX事業部が運営しています。AX事業部では、AI研修・AIエージェント開発・ローカルLLM開発・補助金/助成金の活用支援を提供しています。

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この記事を書いた人

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