デザイン心理学とは?17の法則とAIで修正するコツ

デザインの心理法則17種類とAIでデザインを修正する3つのコツを紹介するイメージ

デザインは、色や配置が少し違うだけで見え方が大きく変わります。AIを使っても「整っているのに、なんだか違う」と感じるときは、「デザインの心理法則」が改善の手がかりになるかもしれません。

文字量、配置、色味、余白。仕事で資料や画像を作る機会は少なくありませんが、考えることが多く、思った以上に時間がかかります。AIに作ってもらえばすぐ終わると思っても、きれいだけれど大事な部分が目立たない、少し読みにくい、といった仕上がりになることもあります。

人同士なら「もう少しここを目立たせたい」「ちょっと違う」と伝えられても、感覚だけをAIへ説明するのは難しいもの。それが、デザインの心理法則を知ると、曖昧だった違和感を言葉にしやすくなります。

今回は、Xで紹介された17の心理法則をやさしく整理し、特に試しやすい「孤立効果」をChatGPTで簡単に模擬評価しました。

この記事でわかること(結論)

  • デザイン心理学の役割:人がどこを見て、どう情報をまとめるかを考える手がかり
  • 投稿で紹介された3分類:視線誘導、印象、情報のまとまりという3方向からデザインを見直すことができる
  • 孤立効果の簡単な試し方:同じ項目を並べたA案と、一つだけ色を変えたB案を比べる
  • ChatGPTの使いどころ:人に見せる前の仮説づくりや、修正指示の言語化に役立つ

デザインの心理法則は「なんとなく」を言葉にする

デザインの心理法則は、見た人の視線や受け取り方に起こりやすい傾向を整理したものです。生まれつきのセンスがなくても、「なぜ見やすいのか」「なぜ大事な部分が伝わらないのか」を考えやすくなります。

SlidelandのX投稿では、会社紹介資料や決算説明資料などを例に、デザインに関係する17の法則・効果を3つに分けて紹介しています。投稿の結論は、無意識に使っていた法則の名前を知ることで、偶然のデザインを意図のあるデザインへ変えられる、という内容でした(出典:Slideland「デザインの心理法則、まとめてみた」、2026年2月13日)。

投稿で紹介された3分類と主な法則は次の通りです。

分類 何を考えるものか 投稿で紹介された法則・効果
視線誘導 最初にどこを見て、次にどこを読むか 視線追従、トンネル効果、矢印効果、Zの法則、孤立効果
印象への働きかけ 色や画像、構成からどんな印象を受けるか クレショフ効果、色彩心理、ベビーフェイス効果、サプライズ効果、ピーク・エンドの法則、デュアルコーディング理論
ゲシュタルトの法則 複数の要素をどのようなまとまりとして見るか 近接、類同、閉合、連続、面積、対称性

全部を一度に覚える必要はありません。たとえば、関係する情報を近くに置く「近接」、同じ役割のボタンを同じ色にする「類同」は、普段の資料作りでも自然に使われています。最初は一つだけ選び、作った画像や資料へ当てはめる方がわかりやすいでしょう。

デザインの心理法則17種類を、視線誘導・印象への働きかけ・ゲシュタルトの法則の3分類で整理した図解

初心者でも試しやすいのは孤立効果

孤立効果は、同じようなものが並ぶ中で一つだけ違うものが目立ち、記憶に残りやすくなる傾向です。色を一つ変えるだけでも試せるため、デザイン初心者の簡易テストに向いています。

フォン・レストルフ効果とも呼ばれ、研究では、並んだ項目の中で概念的または見た目に異なる項目は記憶されやすいと説明されています。ただし、記憶への影響は提示の仕方や思い出す条件にも左右されます(出典:Schmidt & Schmidt, Revisiting von Restorff’s early isolation effect、2017年)。

資料やバナーへ応用する場合は、最も伝えたい数字、締め切り、ボタンなど、一つの要素だけに違いをつけます。何もかも目立たせると差がなくなるため、「最初に見てほしいものは何か」を決めることが先です。

社内のメンバーに孤立効果を試してみた

孤立効果が実際の見え方にも表れるのか確かめるために、今回は社内のメンバー3人に協力してもらい、簡単なテストをしてみました。

用意したのは、5つの仕事の工程を並べたA案とB案です。A案はすべて同じ色、B案は「編集」だけ赤色にしました。違いは一か所だけです。

比較した2つのデザイン

  • A案:企画、取材、執筆、編集、公開を同じ色・大きさで表示
  • B案:「編集」だけ赤色に変更し、ほかの条件はA案と同じ

A案とB案をそれぞれ見てもらい、「最初に目へ入った言葉はどれか」を聞きました。色以外の条件をそろえることで、赤くした「編集」がどの程度目立つのかを確認します。

孤立効果を試すため、すべて同じ色のA案と「編集」だけ赤色にしたB案を比較したデザイン

実際に見てもらった結果

3人にA案とB案を見てもらい、最初に目へ入った項目と、その理由を聞いてみました。

回答者 A案で最初に見た項目 B案で最初に見た項目 理由・感想
メンバーA 企画 編集 A案は左から自然に見たが、B案では赤い「編集」が最初に目に入った
メンバーB 公開 編集 「編集」だけ色が違うため、重要な工程のように感じた
メンバーC 執筆 編集 ほかと違う色だったので、「編集」が特に印象に残った

A案では最初に目へ入った項目が3人とも異なりました。一方、B案では3人とも赤色にした「編集」を選びました。

実際に聞いてみて興味深かったのは、単に「赤色だから目立った」だけではなかったことです。「重要そうに見えた」「印象に残った」という感想もあり、周囲と違う見た目にすることで、その情報自体の重要度まで高く感じられる可能性があると分かりました。

もちろん、今回は社内の3人だけに聞いた簡単なテストなので、これだけで孤立効果を証明できるわけではありません。ただ、同じ内容でも一部分だけ見た目を変えると、実際に目の向き方や受け取り方が変わることを体感できました。

ChatGPTでデザインを改善するときの進め方

ChatGPTは、デザインの正解を決めるよりも、比較案を作って改善点を整理する相手として使うと便利です。

最初に見せたいものを決める

「全体を目立たせて」ではなく、「申し込み期限を最初に見せたい」のように、最優先の情報を一つ伝えます。

変える条件を一つに絞る

色、文字サイズ、配置を一度に変えず、「編集だけ赤色にする。ほかは変えない」のように、変える部分と残す部分を明確にします。A案とB案の違いを一つにすると、見え方を比較しやすくなります。

最後は人の反応を確認する

比較案を作ったら、「最初にどこを見たか」「何が印象に残ったか」などを確認します。ChatGPTだけで良し悪しを決めず、実際に見る人の反応を確かめることが大切です。

言葉で伝えにくいときは参考画像を使う

雰囲気や配置を言葉だけで説明しにくい場合は、参考画像を一緒に渡す方法もあります。詳しくは、AXメディアの参考画像を使った画像生成のコツ、部分修正はAI画像生成の修正指示のコツで紹介しています。

ChatGPTでデザインを改善するときの4つの進め方を、さくらこのイラストとともに示した図解

実務上の注意

デザインの心理法則は、資料やWebページを見やすくするヒントになります。ただし、法則をそのまま当てはめればよいわけではありません。実務で使うときは、次の3点を意識しておくと使いやすくなります。

目立たせる場所を増やしすぎない

重要な情報を目立たせようとして、色、太字、大きな文字、枠線をあちこちに使うと、どこを見ればよいのか分かりにくくなります。

たとえば社内資料なら、「今日決めたいこと」や「対応が必要な項目」など、特に見てほしい情報を絞って強調するのが基本です。孤立効果を使う場合も、目立たせる箇所を限定した方が違いを認識しやすくなります。

心理法則だけでデザインを決めない

同じデザインでも、スマートフォンで見るのか、パソコンで見るのか、社内資料なのか広告なのかによって、適した見せ方は変わります。

AIに「孤立効果を使って目立たせて」と依頼すると、それらしい案を作ることはできますが、そのまま採用するのではなく、実際に使う画面や資料で読みやすいかを最後に確認することが必要です。心理法則は、完成形を決めるルールではなく、デザインを考えるための手掛かりとして使うのが適しています。

色だけに頼らず、文字や形でも違いを伝える

重要な項目を赤色にするだけでは、色の違いが分かりにくい人や、画面の表示環境によって意図が十分に伝わらない場合があります。

たとえば「要確認」の項目なら、色を変えるだけでなく、「要確認」という文字を付ける、太字にする、枠で囲むといった方法を組み合わせると、より分かりやすくなります。

W3CのWCAG 2.2でも、情報を色だけで区別せず、文字や形など別の手掛かりを併用する考え方が示されています(出典:W3C「Understanding Success Criterion 1.4.1: Use of Color」)。

デザインの心理法則を実務で使う際の3つの注意点を、さくらこがホワイトボードで解説する図解

まとめ

デザインの心理法則を知っておくと、なぜ見やすいのか、どこを目立たせるべきかを考える基準ができます。すべてを一度に使う必要はなく、まずは一つの法則から試してみるのがおすすめです。

それをもとにAIを使えば、複数のデザイン案も作りやすくなります。心理法則をヒントに改善しながら、最後は実際に人の目で見て、伝えたい内容がきちんと伝わるか確認してみてください。

よくある質問

デザインの心理法則は初心者でも使えますか?

初心者でも使えます。最初は孤立効果や近接の法則など、色や余白を少し変えるだけで試せるものを一つ選ぶと理解しやすくなります。

ChatGPTだけでデザインの良し悪しを判断できますか?

ChatGPTだけで最終判断はできません。比較案や改善の仮説は作れますが、公開前には想定読者に近い人へ見せて確認する必要があります。

孤立効果では何色を使えばよいですか?

決まった正解はありません。周りの色と区別でき、ブランドの雰囲気や読みやすさを損なわない色を選び、色以外の太字や形も組み合わせてください。

AIで作ったA案とB案はどう比べればよいですか?

一度に変える条件を一つに絞り、最初に見た場所、覚えていた言葉、受けた印象を確認します。少人数の確認は改善の仮説として扱い、科学的な証明とは分けてください。

関連する用語・出典

  • デザイン心理学:人の知覚や印象、行動の傾向をデザインへ生かす考え方
  • 孤立効果:同じような項目の中で、一つだけ異なる項目が記憶に残りやすくなる傾向(PubMed
  • ゲシュタルトの法則:複数の要素を、近さや似た形などから一つのまとまりとして捉える知覚の原則
  • Slideland:スライド事例を紹介するメディア。参照したX投稿では17の法則・効果を3分類で紹介
  • GPT Image 2:OpenAIが画像生成と編集に対応するモデルとして案内している画像モデル(OpenAI公式資料
  • WCAG 2.2:Webコンテンツのアクセシビリティに関する国際的なガイドライン(W3C公式資料

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この記事を書いた人

さくらこのアバター さくらこ AIメディア編集・実践担当

AX事業部の若手社員。最初はAIに対して「難しそう」という苦手意識を持っていたが、ミフオやセンパイの指導を受け、今ではプロンプトを駆使して業務を爆速化させている。読者と同じ「初心者目線」で、本当に役立つ実務ノウハウを発信中。