デジタル化・AI導入補助金2026では、研修費だけを切り離して申請できません。ただし、登録ソフトウェアを導入するための研修・設定・マニュアル作成は、条件を満たせば補助対象になります。
「IT導入補助金でAI研修も受けられる」と案内されても、研修という名前だけでは対象かどうかを判断できません。確認したいのは、今回導入する登録ソフトウェアと、研修の内容・登録区分が対応しているかです。
この記事では、2026年9月9日時点の公式資料をもとに、導入研修が認められる範囲と見積書の確認方法を整理します。制度名は「デジタル化・AI導入補助金2026」ですが、旧名称の「IT導入補助金」で探している方にも分かるように説明します。
この記事でわかること(結論)
- 研修単体の申請:登録ソフトウェアの導入と切り離した研修費は申請できない
- 対象になる導入研修:対応するソフトウェアと組み合わせ、登録された内容を導入完了までに実施する
- 検索に出ない役務:検索結果だけで判断せず、支援事業者に登録区分と対応するソフトを確認する
- 見積書の見方:作業内容・実施時期・対象外費用・実施記録を分けて確認する
研修単体が対象外になる理由
導入研修は、独立した研修制度ではなく、ソフトウェア導入に付随する「役務」として扱われます。役務とは、設定や研修など、作業・支援サービスのことです。
通常枠とインボイス対応類型では、導入研修はカテゴリー6「導入設定・マニュアル作成・導入研修」に位置付けられています。申請できるのは、ITツール登録時に対応付けられたカテゴリー1「ソフトウェア」と組み合わせる場合です。

したがって、任意のAI講座にソフト代を付け足しただけでは条件を満たしません。ソフトウェア側だけでなく、研修側の登録内容まで確認する必要があります。(出典:通常枠の公募要領「2-2」、インボイス対応類型の公募要領「2-2」)
社員の能力開発を目的に、導入するソフトとは別に研修を選びたい場合は、AI研修とAIツール導入で異なる制度の選び方から整理すると、制度を取り違えにくくなります。
導入研修・設定・マニュアル作成の対象範囲
カテゴリー6は、特定の登録ソフトを使い始めるために必要な作業を対象とします。同じ「研修費」「設定費」でも、作業の中身によって扱いが分かれます。
登録ソフトの導入に必要な作業かを確認する
ITツール登録要領に示された内容を、見積書で確認しやすい形に整理すると次のとおりです。記載した作業でも、登録内容や実施条件を満たすことが前提になります。
| 作業の区分 | 対象になり得る内容 | 区別したい内容 |
|---|---|---|
| 導入研修 | 登録ソフトの導入に必要な研修資料の作成・研修の実施 | 導入ソフトと関係しない一般的なAI講座 |
| マニュアル作成 | 登録ソフトの運用に必要なマニュアルの作成 | 導入とは無関係な社内文書の作成代行 |
| 導入設定 | 必要な設定、既存CSVデータの取り込み、カスタマイズ | 導入に必要な範囲を超えるデータ入力・通常業務の代行 |
| RPA・AIの初期設定 | 導入に必要なRPAシナリオ作成やAIの初期学習設定 | 導入後の通常業務を継続的に外注する費用 |
過去に購入したソフトや、今回の補助事業で導入しないソフトに対する作業も、カテゴリー6へそのまま含めることはできません。(出典:ITツール登録要領「カテゴリー6」)
研修の実施時期は「導入完了まで」が基準になる
カテゴリー6の対象は、登録ソフトウェアの導入開始から導入完了、すなわち納品日までに行う役務です。納品後に追加で行う研修を、導入研修だからという理由で同じ費用に含めないようにしてください。

保守サポートは別のカテゴリーです。「サポートも付いているから、将来の研修費をすべて含められる」とは判断せず、いつ、何を実施する契約なのかを確認します。(出典:ITツール登録要領「カテゴリー6・7」)
見積書と登録内容を照合する3つの手順
見積書は金額だけでなく、対応するソフト・実施する作業・実施時期が追える状態にすることが大切です。以下は確認の進め方であり、公式の見積書様式を指定するものではありません。
- 研修がひも付く登録ソフトを特定する。支援事業者に、ソフトウェアとカテゴリー6の登録情報を提示してもらいます。「どの登録ソフトに対する、どの導入研修ですか」と確認してください。
- 「研修一式」を実施内容に分ける。研修の対象機能、資料作成、設定作業、実施予定日、納品物を照合します。「このカリキュラムは、登録されたカテゴリー6の業務内容に含まれていますか」と尋ねると確認点が明確になります。
- 対象外費用と実施記録を確認する。講師の交通費・宿泊費、申請代行費などを分けます。研修や設定を実施したことを、どの記録で確認し、双方で保管するかも決めておきます。

公式のITツール・IT導入支援事業者検索では、検索結果一覧に大分類Ⅲ「役務」は含まれません。研修名が検索に出ないことだけで対象外とは判断できませんが、表示されないことは登録済みの証明にもなりません。
通常枠・インボイス対応類型では、役務全体の補助対象経費に200万円の上限があります。研修だけに使える補助金の上限ではなく、導入コンサルティングや保守なども含めた役務経費の上限です。(出典:通常枠の公募要領、インボイス対応類型の公募要領)
ソフトウェアの機能要件や補助率を確認する場合は、通常枠の対象経費と補助率で、申請全体の条件も確認してください。
実務上の注意
研修の内容が適切でも、契約の順番、価格、実施記録に問題があると、補助対象として認められない場合があります。
交付決定前に契約・発注・支払いをしない
申請前の相談や見積もりと、研修を正式に発注することは別です。交付決定前に一部でも契約・発注・支払い等を行った申請は、補助金の交付を受けられません。ソフトだけでなく、研修の発注時期も合わせて確認してください。(出典:事業実績報告の手引き「事前着手」)
対象外費用を研修費へまとめない
交通費・宿泊費や補助金の申請代行費は、通常枠の補助対象外経費に挙げられています。また、カテゴリー6には価格の妥当性も求められます。費用の名称を「研修一式」に変えるのではなく、実際の作業と価格の根拠を説明できる内訳にしてください。(出典:通常枠の公募要領「補助対象外経費」、ITツール登録要領「カテゴリー6」)
提出を求められなくても実施記録を残す
役務の実施記録は、事務局から提出を求められない場合も作成・保存が必要です。業務日誌、勤怠管理簿、議事録などを、補助事業者とIT導入支援事業者の双方で保管します。登録済みでも、実施していない作業を費用に含めることはできません。(出典:事業実績報告の手引き「実施実態資料」、ITツール登録要領)
まとめ
IT導入補助金で研修費を検討するときは、「研修にも補助が出るか」ではなく、今回導入する登録ソフトのために、どの作業をいつ実施するのかを確認することが出発点です。
支援事業者から登録情報と見積内訳をそろえてもらい、研修内容・納品日・実施記録まで対応付けましょう。研修を単独で選ぶことが目的なら、ソフト導入費に無理に組み込まず、研修向けの制度から検討し直す方が適切です。
よくある質問
導入研修費を見積もりに含める際に、確認しておきたい疑問をまとめます。
IT導入補助金でAI研修だけを申し込めますか?
研修費だけを独立して申請することはできません。対象になり得るのは、対応付けられた登録ソフトウェアの導入と組み合わせる、カテゴリー6の導入研修です。
すでに購入したソフトの使い方研修も対象ですか?
過去に購入したソフトに対する研修を、今回のカテゴリー6へそのまま含めることはできません。今回の補助事業で導入する登録ソフトに対応する作業かを確認してください。
公式検索で研修名が見つからない場合は対象外ですか?
検索結果一覧には役務が含まれないため、それだけでは判断できません。支援事業者に、カテゴリー6の登録情報と対応するソフトウェアを確認します。
納品後に追加で受ける研修も、導入研修費に含められますか?
カテゴリー6は、ソフトウェアの導入開始から導入完了までの役務を対象とします。納品後の追加研修を同じ区分に含められるとは考えず、契約前に事務局や支援事業者へ確認してください。
関連する用語・出典
登録区分を確認するときは、次の用語を区別すると資料を読みやすくなります。
- カテゴリー1:補助事業で導入するソフトウェアの登録区分
- カテゴリー6:導入設定・マニュアル作成・導入研修の登録区分
- 役務:導入に伴うコンサルティング、設定、研修、保守などの作業・支援サービス
- 実施実態資料:役務を実際に行ったことを確認するための業務日誌、勤怠管理簿、議事録など
※本記事は2026年9月8日時点で確認した公式資料に基づく一般的な情報です。個別経費の対象可否、採択、交付額を保証するものではありません。申請時は最新の公募要領・ITツール登録要領を確認し、不明点は事務局へお問い合わせください。
この記事について
AXメディアは、株式会社ジーズ AX事業部が運営しています。AX事業部では、AI研修・AIエージェント開発とあわせて、補助金・助成金の活用支援を提供しています。本記事は、公募要領・公式サイトなどの一次情報をもとに、AI導入を検討する中小企業の視点で整理しています。

