人材開発支援助成金でAI研修費は出る?仕組みと落とし穴

人材開発支援助成金ではAI研修の経費と賃金が助成対象になることを示すアイキャッチ画像

「社員にAI研修を受けさせたいけれど、費用が気になる」。そんなときの候補が、厚生労働省の人材開発支援助成金です。条件を満たせば、AI研修の費用も対象になり得ます。

でも「AI研修でも本当に出るの?」「いくら戻るの?」が分からず、止まっていませんか。結論から言うと、条件を満たせばAI研修の費用も対象になり得ます。ただし「申し込めば誰でももらえる」制度ではなく、事前の手続きと“順番”がとても大切です。この記事では、仕組みと、つまずきやすい落とし穴を、初心者の方にもわかるように整理します。

この記事でわかること(結論)

  • AI研修は対象になる?:業務に関係する内容なら対象になり得る
  • 何が助成される?:研修の経費だけでなく、研修中の賃金の一部も対象
  • いくら出る?:割合・上限はコース・年度で変わる(数値は目安・要公式確認)
  • 最大の落とし穴:計画届は「研修の前」に提出が必要。順番を間違えると対象外

そもそも人材開発支援助成金とは?

人材開発支援助成金は、従業員に研修を受けさせた会社に、その費用と賃金の一部を支援する厚生労働省の制度です。財源は雇用保険で、対象は企業です。

人材開発支援助成金は、厚生労働省が雇用保険を財源として運営している、企業向けの助成制度です。従業員に職務に関係する研修を受けさせた会社に対して、研修にかかった費用(経費)と、研修を受けている間に払った賃金の一部を助成してくれます。

ポイントは、「経費」だけでなく「賃金」の一部まで対象になることです。外部研修の受講料だけでなく、研修中に支払った給料の一部も戻る可能性があるため、資金にゆとりのない中小企業ほど助けになりやすい制度です。


人材開発支援助成金は訓練経費の一部と賃金の一部の2つが助成対象になることを示す図

AI研修は対象になる?

AIの研修も、業務に関係する内容であれば対象になり得ます。とくに生成AIやDXを進める研修は、制度の趣旨と相性が良い分野です。

「AIの研修」も、業務に関係する内容であれば対象になり得ます。とくに、生成AIを業務で使えるようにする研修や、DX(デジタル化)を進めるための研修は、制度の趣旨と相性が良い分野です。

ただし、「AIの研修ならなんでもOK」というわけではありません。業務との関連性、研修の形(OFF-JT=通常業務と区別して行う研修)、決められた研修時間などの要件を満たす必要があります。ここはコースや年度によって変わるため、最新の情報を必ず確認してください。

よくある誤解が、「経済産業省などの認定を受けたIT講座だから、厚生労働省の助成金も当然出るはず」というものです。これは別の制度なので、必ずしもそうはなりません。厚労省側には独自の要件があるため、「認定があるから安心」と決めつけないことが大切です。

どのコースで考える?

AI・DX関連の研修でよく候補になるのは、次の3つのコースです。目的に合うものを選ぶのが基本になります。

コース 向いているケース メモ
事業展開等リスキリング支援コース 新規事業の立ち上げやDX化にともなう研修 リスキリング系で支援が手厚い傾向。期間限定の制度
人材育成支援コース 職務に関係する標準的な研修 もっとも汎用的で使いやすい
人への投資促進コース 高度なデジタル人材の育成など 要件が高め。定額制(サブスク型)研修にも対応

どのコースが合うかは、研修の目的によって変わります。細かい要件・対象は変更されることがあるため、コース選びの段階で公式情報や管轄の労働局に確認するのが安全です。

いくら出る?(お金の話)

助成の割合や上限額は、コース・要件・年度によって変わります。「最大75%」といった水準が示される年もありますが、あくまで条件を満たした場合の目安です。

気になる金額ですが、助成の割合や上限額は、コース・要件・年度によって変わります。たとえばリスキリング系のコースでは、中小企業で訓練経費のかなりの割合(「最大75%」といった水準が示される年もあります)が助成されることがあります。ただしこれは条件を満たした場合の“目安”であって、誰でも必ずこの割合になるわけではありません。

また、研修の受け方によっても扱いが変わります。たとえば動画を見るタイプのeラーニングは、経費の助成は対象でも賃金の助成は対象外になる、経費の上限額が変わる、といった細かいルールもあります(2026年の改正時点)。具体的な割合・上限・対象は、必ず最新の公募要領・パンフレット・労働局でご確認ください。

申請でつまずく「落とし穴」3つ

制度を使えるかどうかは、研修の内容よりも「手続きの順番」で決まることが多いです。特に多いつまずきが、この3つです。


人材開発支援助成金の申請でつまずきやすい3つの落とし穴(計画届・要件・経費負担)を示す図

  1. 計画届は「研修の前」に出す……これが最大の注意点です。多くのコースで、研修を始める前(コースによっては開始の1か月前など)に計画届の提出が必要です。「研修が終わってから申請しよう」では手遅れになります。
  2. 研修の「形」と「時間」の要件……通常業務と区別したOFF-JTであること、一定の研修時間を満たすことなどが求められます。業務に関係する内容であることも前提です。
  3. 経費はいったん会社が負担する……値引きや返金を受けると対象外になることがあります。あわせて、雇用保険の適用事業主であることなどの受給資格も必要です。

申請の進め方(おおまかな流れ)

大きな流れは、ニーズ整理 → 計画届の提出 → 研修の実施 → 支給申請 → 審査・支給、の順です。細かい書類はコースごとに違います。

  • 自社の研修ニーズを整理し、どのコースが合うかを確認する
  • 研修を始める前に、計画届を管轄の労働局・ハローワークへ提出する
  • 計画にそって研修を実施し、出席記録や領収書などの証憑を保管する
  • 研修終了後に、支給申請を行う
  • 労働局の審査を経て、助成金が支給される

なお、計画届の作成や支給申請といった手続きの代行は、社会保険労務士の業務とされています。書類の正確さが受給を左右するため、迷ったら早めに社労士などの専門家や労働局に相談するのが安全です。

申請の前に、必要な準備を一覧で確認しておくと見落としを防げます。助成金の申請準備で押さえるべき項目は助成金申請前チェックリスト。初心者が確認すべき5ステップにまとめています。

まとめ

「人材開発支援助成金でAI研修費は出る?」の答えは、条件を満たせば出る可能性がある、です。経費と賃金の一部が対象になり、中小企業にとっては心強い制度です。ただしカギになるのは、金額そのものよりも「事前の準備」と「順番」。とくに計画届の事前提出は、最初に押さえておきたいポイントです。

大切なのは、「助成金があるから研修をする」のではなく、「自社に必要な研修を考え、それを後押しする制度として助成金を活用する」という順番です。まずは自社が学ばせたい内容を整理することから始めてみてください。

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※本記事の制度情報は2026年6月時点の整理です。人材開発支援助成金は令和8年度に改正があり、コースの要件・助成率・上限額・対象経費・期限は変更される場合があります。最新の内容は、厚生労働省の公式サイト・公募要領、または管轄の労働局・専門家でご確認ください。

この記事について

AXメディアは、株式会社ジーズ AX事業部が運営しています。AX事業部では、AI研修・AIエージェント開発とあわせて、補助金・助成金の活用支援を提供しています。本記事は、公募要領・公式サイトなどの一次情報をもとに、AI導入を検討する中小企業の視点で整理しています。

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この記事を書いた人

こおじのアバター こおじ AXメディア ディレクター

「実務直結・標準化」を信条とする、AXメディアのディレクション担当。さくらこのセンパイ。個人のスキルに頼らない「仕組みとしてのAI活用」を追求しており、こおじが考案するプロンプト(センパイメソッド)は社内でも高く評価されている。