補助金申請に相見積もりは必要?制度ごとの見積書ルール

補助金に相見積もりは必要かを制度ごとの見積書ルールの違いから解説するアイキャッチ画像

補助金の申請で相見積もりが必要かどうかは、制度によって違います。ものづくり補助金や省力化投資補助金では50万円以上の経費で2者以上の見積もりが原則必要ですが、デジタル化・AI導入補助金では登録された価格で申請するため、原則として相見積もりは不要です。

補助金を申請しようとして「相見積もりが必要」と聞き、複数の業者に見積もりを依頼した経験がある方もいるかもしれません。一方で、別の補助金では相見積もりを求められなかった、という声もあります。どちらも間違いではなく、制度によってルールが違うためです。

この記事では、補助金の申請で相見積もりが必要になるのはどんなときか、制度によってどう変わるのかを、各制度の公募要領をもとに整理します。ものづくり補助金・省力化投資補助金・デジタル化・AI導入補助金の3つを例に、要否とルールの違いを確認します。

この記事でわかること(結論)

  • 要否は制度で分かれる:相見積もりが必要かどうかは、申請する補助金の制度によって異なる
  • ものづくり・省力化補助金:単価50万円(税抜)以上の経費は、原則2者以上から同一条件で見積もりを取る
  • デジタル化・AI導入補助金:登録されたツールを登録価格で申請するため、原則として相見積もりは不要
  • 2者取れないとき:ものづくり補助金などでは、業者選定理由書を用意することで対応できる場合がある

そもそも相見積もりとは?なぜ必要とされるのか

相見積もりとは、同じ内容の商品やサービスについて、複数の業者から見積もりを取ることです。補助金で相見積もりが求められるのは、価格の妥当性を証明するためです。

補助金は公的な資金です。特定の業者に不当に高い金額を支払い、その一部を補助金でまかなうような使い方を防ぐ必要があります。複数の業者から同じ条件で見積もりを取り、その中から適正な価格を選んだことを示すことで、価格が妥当であると証明できます。だからこそ、多くの補助金で相見積もりが条件になっています。

制度によって相見積もりの要否は変わる

ここが最も重要なポイントです。相見積もりが必要かどうかは、申請する補助金によって変わります。同じ「補助金」でも、制度の仕組みが違えば、見積もりのルールも異なります。

大きく分けると、設備投資を支援する補助金では相見積もりが求められ、登録されたツールを導入する補助金では原則不要、という違いがあります。以下で、代表的な3制度を見ていきます。

ものづくり補助金と省力化投資補助金は必要デジタルAI導入補助金は原則不要と示す早見表の図

ものづくり補助金・省力化投資補助金は「50万円以上で2者以上」

設備投資を支援するものづくり補助金と省力化投資補助金では、相見積もりが原則必要です。基準となる金額と件数が決まっています。

ものづくり補助金では、交付申請の際、発注先の選定にあたって価格の妥当性を証明できるよう見積書を取得する必要があり、単価50万円(税抜)以上の物件等については、原則として2者以上から同一条件による見積もりを取ることとされています(出典:全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第23次公募)」)。

中小企業省力化投資補助事業(一般型)でも同様に、全ての経費で見積書の取得が必要で、契約先1者あたりの見積額の合計が50万円(税抜)以上の経費については、同一条件による2者以上の見積書を取得し、最低価格を提示した者を選定することとされています(出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助事業(一般型)交付申請マニュアル」)。中古設備を対象にする場合は、ものづくり補助金では3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得することが条件になります。

デジタル化・AI導入補助金は登録価格のため原則不要

一方、デジタル化・AI導入補助金2026では、相見積もりの考え方が根本的に異なります。この補助金では、原則として相見積もりは不要です。

理由は、この補助金の仕組みにあります。デジタル化・AI導入補助金の補助対象になるのは、あらかじめ事務局に登録されたITツール(登録されたIT導入支援事業者が提供するもの)に限られます。ツールと価格が事前に登録されており、その登録された内容にもとづいて申請するため、申請者が複数の業者から相見積もりを取って価格を比較する、という手続きが基本的に発生しません(出典:中小企業庁・中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)」)。制度の全体像はデジタル化・AI導入補助金2026とは?使える制度の種類と選び方で整理しています。

同一条件でない一式表記対象外経費の混在という見積書で不備になりやすい3点を示す図

見積書で不備になりやすいポイント

相見積もりが必要な制度で申請する場合、見積書の取り方を誤ると差し戻しになります。特に注意したい点を確認します。

最も多いのが、同一条件になっていないケースです。相見積もりは、各業者に同じ仕様・同じ数量で依頼する必要があります。業者ごとに条件が違う見積もりを並べても、価格の比較にならず、有効な相見積もりと認められません。また、金額が「一式」とだけ書かれた見積書も、内訳が不明で価格の妥当性を示せないため、品目ごとに単価と数量が記載されたものが求められます。さらに、補助の対象外となる経費が混ざっている場合は、対象経費が明確にわかるようにしておく必要があります。

実務上の注意

相見積もりで、特につまずきやすいポイントを3点挙げます。

2者取れないときは業者選定理由書で対応できる

見落とされやすい救済策です。発注内容の性質上、どうしても2者以上から見積もりを取ることが困難な場合があります。その場合、ものづくり補助金などでは、業者選定理由書を用意することで、1者の見積もりでも対応できるとされています。特殊な仕様で対応できる業者が1社しかないといったケースでは、なぜ相見積もりが取れないのかを理由書で説明します。「相見積もりが取れないから申請できない」と諦める前に、対応策があることを知っておいてください。

「相見積もり」と「同一条件の見積もり」は別物

間違えやすい考え方です。単に複数の業者から見積もりを取ればよいのではなく、同一条件で取ることが求められます。A社にはハイスペックな仕様、B社には簡易な仕様で依頼した見積もりを並べても、条件が違うため価格の比較になりません。相見積もりを取るときは、すべての業者に同じ仕様書・同じ数量で依頼することが前提です。

見積書の取得費用そのものは補助対象外

誤解しやすい点です。相見積もりを取るためにかかった費用があったとしても、その費用は補助の対象経費には含まれません。省力化投資補助事業のマニュアルでも、見積書の取得に係る費用は補助対象経費とならないと明記されています。見積もりの準備にかかる手間や費用は、自社の負担になると考えておいてください。

まとめ

相見積もりの要否は制度で違い設備投資系は50万円以上で2者と伝えるミフオの図

補助金で相見積もりが必要かどうかは、制度によって分かれます。ものづくり補助金や省力化投資補助金では、単価50万円(税抜)以上の経費について原則2者以上から同一条件で見積もりを取る必要があり、デジタル化・AI導入補助金では登録価格で申請するため原則不要です。相見積もりを取るときは同一条件で依頼すること、2者取れない場合は業者選定理由書で対応できることを押さえておきましょう。最新かつ正確なルールは、自社が申請する制度の公募要領、または専門家・支援機関で確認してから進めてください。

よくある質問

相見積もりが必要になる金額の基準はいくらですか?

ものづくり補助金や省力化投資補助金では、単価50万円(税抜)以上の経費が原則2者以上の相見積もりの対象です。ただし基準は制度や公募回によって変わることがあるため、申請する制度の公募要領で確認してください。

業者が1者しか見つからない場合はどうすればよいですか?

ものづくり補助金などでは、業者選定理由書を用意することで対応できる場合があります。発注内容の性質上2者以上から見積もりを取ることが困難な理由を説明します。詳しい様式や条件は公募要領・事務局の案内で確認してください。

中古品を購入する場合、相見積もりは何者から必要ですか?

ものづくり補助金では、中古設備を対象にする場合、3者以上の中古品流通事業者から、型式や年式が記載された相見積もりを取得することが条件とされています。中古品は市場価格が明確でないため、通常より多くの見積もりが求められます。

デジタル化・AI導入補助金でも見積もりは必要ですか?

デジタル化・AI導入補助金は、登録されたITツールを登録価格で申請する仕組みのため、申請者が複数業者から相見積もりを取る手続きは原則発生しません。導入の進め方はIT導入支援事業者と相談しながら進めます。

相見積もりは複数の業者から取ればそれでよいですか?

単に複数から取るだけでは不十分です。各業者に同じ仕様・同じ数量で依頼する「同一条件」の見積もりである必要があります。条件が異なる見積もりは価格の比較にならず、有効と認められないことがあります。

関連する用語・出典

  • 相見積もり:同じ内容の商品・サービスについて、複数の業者から見積もりを取ること。補助金では価格の妥当性を証明するために求められる。ものづくり補助金などでは単価50万円(税抜)以上の経費で原則2者以上(ものづくり補助金 公募要領(第23次公募)
  • 同一条件:相見積もりを取る際、各業者に同じ仕様・数量で依頼すること。条件が異なると価格の比較にならず、有効な相見積もりと認められない
  • 業者選定理由書:発注内容の性質上、2者以上から見積もりを取ることが困難な場合に、その理由を説明して1者の見積もりで対応するための書類
  • IT導入支援事業者:デジタル化・AI導入補助金で、登録されたITツールの提供と申請サポートを行う事業者。この補助金は登録価格で申請するため、相見積もりは原則不要

※本記事の制度情報は2026年7月時点の一般的な整理です。相見積もりの金額基準・件数・様式などの要件は、制度や公募回によって変更される場合があります。最新かつ正確な内容は、各制度の公式サイト・公募要領・事務局、または専門家(認定支援機関等)でご確認ください。

この記事について

AXメディアは、株式会社ジーズ AX事業部が運営しています。AX事業部では、AI研修・AIエージェント開発とあわせて、補助金・助成金の活用支援を提供しています。本記事は、公募要領・公式サイトなどの一次情報をもとに、AI導入を検討する中小企業の視点で整理しています。

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この記事を書いた人

こおじのアバター こおじ AXメディア ディレクター

「実務直結・標準化」を信条とする、AXメディアのディレクション担当。さくらこのセンパイ。個人のスキルに頼らない「仕組みとしてのAI活用」を追求しており、こおじが考案するプロンプト(センパイメソッド)は社内でも高く評価されている。