デジタル化・AI導入補助金2026のセキュリティ対策推進枠は、登録された「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の導入を支援する枠です。セキュリティ製品なら何でも対象になるわけではありません。
この枠を検討するときは、製品の知名度よりも、対象サービスとしての登録、契約先、利用期間、補助率を順に確認することが大切です。IPAのサービスリストに掲載されているだけでは、補助金の条件を満たしたことにはなりません。
この記事では、2026年9月8日時点の公式情報をもとに、対象サービスの確認方法、補助額の考え方、申請前に見ておきたい条件と日程を整理します。
この記事でわかること(結論)
- 対象サービス:IPAのリスト掲載に加え、補助金のITツール登録とIT導入支援事業者による提供が必要
- 補助率・補助額:中小企業は2分の1以内、小規模事業者は3分の2以内で、補助額は5万〜150万円
- 利用期間:申請上の利用年数は1年分または2年分。対象経費はサービス利用料で最大2年分
- 申請前確認:登録状況、対象経費、事業者の要件、契約・支払いの時期を分けて確認する
セキュリティ対策推進枠の対象はお助け隊サービス
対象は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表するリストに掲載されたサービスのうち、補助金側でも事前登録されたサービスです。
サイバーセキュリティお助け隊サービスは、見守り、駆け付け、保険などをまとめて提供する仕組みです。ネットワーク監視、端末監視、その併用といったサービスがあり、IPAの利用者向け案内と監視種別サービス一覧で内容を確認できます。
対象サービスは3つの登録情報で確認する
IPAのサービスリストに掲載されているだけで、補助金の対象になるとは限りません。申請前に、IPAの登録、補助金のITツール登録、契約するIT導入支援事業者の3点を照合します。
| 確認先 | 照合する内容 |
|---|---|
| IPAの現行サービスリスト | サービス名、IPAの登録番号、提供事業者・再販協力会社 |
| 補助金の登録情報 | セキュリティ対策推進枠で申請できるITツールとして登録されているか |
| 契約するIT導入支援事業者 | 申請するサービスと登録された取扱事業者の組み合わせに合っているか |

IPAの登録番号と、補助金のITツール番号は別の情報です。サービス名だけを見て判断せず、両方の登録情報を契約先へ確認してください。(出典:セキュリティ対策推進枠の公募要領「2-2」、ITツール登録要領「カテゴリー10」)
対象サービスかどうかは、次の順で照合します。
- IPAのサイバーセキュリティお助け隊サービスリストで、現在の掲載状況を確認する。
- 補助金の公式検索をセキュリティ対策推進枠で絞り、対象のITツールを確認する。
- 契約先へ、サービス名・登録情報・利用条件が、申請に使う登録内容と一致するか確認する。
IPAのリストから除外されたサービスは、ITツール登録要件も満たさなくなるため、古い一覧だけで判断しないでください。
通常枠の「セキュリティオプション」とは別の申請
同じセキュリティ分野でも、セキュリティ対策推進枠のカテゴリー10と、通常枠・インボイス対応類型で使うカテゴリー4では申請の前提が異なります。

| 申請する枠・区分 | 申請の前提 |
|---|---|
| セキュリティ対策推進枠・カテゴリー10 | 登録されたお助け隊サービスの導入。業務ソフトウェアの同時導入を前提とする枠ではない |
| 通常枠・インボイス対応類型のカテゴリー4 | 対象となるソフトウェアと組み合わせて、セキュリティオプションを導入する |
同一サービスをカテゴリー4と10に重複登録できる場合もありますが、申請できる枠と要件は区別されます。(出典:ITツール登録要領「カテゴリー4とカテゴリー10の重複登録」)
各枠全体の条件は、通常枠の対象経費と補助率、インボイス対応類型の対象経費と補助率で確認できます。
補助率・補助額とサービス利用期間
セキュリティ対策推進枠の補助額は、対象経費に補助率を掛けて計算します。150万円はサービスの価格上限ではなく、補助額の上限です。
| 項目 | 2026年9月8日時点の内容 |
|---|---|
| 中小企業の補助率 | 2分の1以内 |
| 小規模事業者の補助率 | 3分の2以内 |
| 補助額 | 5万円以上150万円以下 |
| 対象経費 | 登録されたサービスの利用料(最大2年分) |
| 申請する利用年数 | 1年分または2年分 |
例えば、補助対象経費が30万円の場合、2分の1で計算した補助額は15万円、3分の2なら20万円です。対象経費・補助率などが認められると仮定した計算例で、支給額を確約するものではありません。(出典:セキュリティ対策推進枠の公式案内、ITツール登録要領「カテゴリー10」)
小規模事業者かは、会社の印象ではなく定義で判断する
常時使用する従業員数の基準は、商業・サービス業では原則5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他では20人以下です。ただし、法人の種類によっては小規模事業者の扱いにならないため、人数だけでは決められません。
「従業員が少ないから3分の2」と自己判断せず、公募要領「申請の対象となる事業者及び申請の要件」の定義を確認してください。
見積もりでは初期費用・台数・利用年数を分ける
カテゴリー10では、初期費用と月額費用をITツールとして登録し、交付申請で利用台数・ライセンス数と利用年数を申告します。支援事業者には、登録された料金、対象台数、1年分か2年分かが分かる見積もりを依頼しましょう。
お助け隊サービスに付随するオプションサービスや、一時的な利用を目的とするものは、カテゴリー10の登録対象外です。見積総額をそのまま対象経費とせず、別契約の追加サービスが混ざっていないかを確認します。(出典:ITツール登録要領「カテゴリー10の登録要件・価格に関する留意事項」)
申請前に確認する条件と最新日程
登録サービスを選べても、申請者の要件や事業計画の条件を満たす必要があります。サービスの契約だけで手続きが完了する制度ではありません。
会社側の要件を確認してから申請内容を固める
中小企業・小規模事業者等としての対象要件に加え、次の項目を確認します。これは主な確認点であり、公募要領の全要件を置き換える一覧ではありません。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| GビズIDプライム | 申請に使うアカウントを取得しているか |
| SECURITY ACTION | 一つ星または二つ星を宣言しているか。第2回公募以降は、2026年4月に運用開始した管理システムでの宣言を確認する |
| 労働生産性の計画 | 申請時点の翌事業年度以降3年間で、労働生産性の年平均成長率1%以上などの要件を満たす計画になっているか |
| 他の補助金との関係 | 国などの他の補助金等と重複する事業を含めていないか |
IT導入補助金2022〜2025の交付決定を受けた事業者には、一定の適用除外を除き、追加の賃上げ要件があります。翌事業年度以降3年間で、1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上とする計画を策定し、実行することが求められます。
申請時点で従業員への表明も必要です。過去に採択されたことがある場合は、その履歴も支援事業者に伝えてください。(出典:公募要領「2-1-1」)
2026年9月8日時点で案内されている5次締切
公式案内に掲載されている5次締切分の日程は次のとおりです。交付決定日と事業実施・実績報告の期限は予定として公表されています。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 交付申請の締切 | 2026年9月29日(火)17:00 |
| 交付決定日 | 2026年11月9日(月)予定 |
| 事業実施期間 | 交付決定から2027年4月30日(金)17:00までの予定 |
| 事業実績報告期限 | 2027年4月30日(金)17:00予定 |
サービスを2年分申請できても、契約・支払いなどを2年間かけて進めてよいわけではありません。事業実施期間内に必要な手続きを完了できる契約・支払い方法か、申請前に確認しましょう。(出典:セキュリティ対策推進枠の公式スケジュール、事業実績報告の手引き「事業実施の要点」)
実務上の注意
補助率だけで契約を決めず、交付決定後や利用開始後に条件が変わる場面も確認しておきましょう。
契約・発注は交付決定後に行う
交付決定前に契約・発注・支払い等を行った申請は、補助金の交付を受けることができません。「対象サービスだったから、先に契約してもよい」とは判断せず、申請前の見積もり・相談と正式な契約を分けてください。(出典:事業実績報告の手引き「事前着手」)
小規模事業者の条件が変わると補助率も変わる
交付決定後から補助事業の完了までに小規模事業者の定義に該当しなくなった場合、補助率は3分の2以内から2分の1以内へ変更されます。この場合も補助対象経費の上限は交付申請時の金額となるため、採用計画などで規模が変わる企業は確認が必要です。(出典:公募要領「2-3」)
途中解約は返還条件を確認してから判断する
導入から1年未満、または実績報告で提出した利用期間を満たさずに利用をやめた場合、補助金の全部または一部が返還対象となることがあります。事業者の責任によらない場合の扱いもあるため、解約や変更を決める前に事務局へ確認してください。(出典:事業実績報告の手引き「事業実施効果報告以降の管理対応」)
まとめ
セキュリティ対策推進枠は、一般的なセキュリティ製品の購入補助ではなく、登録されたお助け隊サービスを、条件に合う契約先から導入するための枠です。
まずIPAと補助金の登録情報を照合し、初期費用・対象台数・利用年数を明記した見積もりを用意しましょう。そのうえで自社の補助率と申請要件、交付決定後の契約・支払い日程を確認することが、申請判断の順序になります。
よくある質問
対象サービスと申請条件を取り違えないための疑問をまとめます。
市販のウイルス対策ソフトなら対象になりますか?
セキュリティ製品であることだけでは対象になりません。この枠では、IPAのお助け隊サービスリストへの掲載と、補助金のITツール登録などの条件を満たす必要があります。
IPAのリストに載っていれば、どの販売会社から契約してもよいですか?
どの販売会社でもよいわけではありません。サービスを取り扱うIT導入支援事業者の登録と、IPAに掲載された提供事業者・再販協力会社との関係を確認してください。
AIソフトウェアを同時に導入する必要がありますか?
セキュリティ対策推進枠は、登録されたお助け隊サービスの導入を対象とする枠です。通常枠のセキュリティオプションとは異なり、業務ソフトウェアの同時導入を前提とするものではありません。
利用期間は必ず2年分で申請するのですか?
申請上の利用年数は1年分または2年分です。最大2年分という上限だけで決めず、必要な台数、継続利用の予定、期間内に完了できる支払い方法を確認してください。
関連する用語・出典
対象サービスの登録と、申請者が行う宣言は別のものです。
- IPA:サイバーセキュリティお助け隊サービスの制度・リストを運営する独立行政法人情報処理推進機構
- カテゴリー10:補助金のITツール登録で、お助け隊サービスを扱う区分
- カテゴリー4:通常枠・インボイス対応類型で扱うセキュリティオプションの区分
- SECURITY ACTION:情報セキュリティ対策に取り組むことを事業者自身が宣言する制度
※本記事は2026年9月8日時点で確認した公式情報に基づく一般的な案内です。個別サービス・経費の対象可否、採択、補助金の交付を保証するものではありません。サービスの掲載・登録状況や公募日程は変更される場合があるため、申請時に最新の公式資料を確認し、不明点は事務局へお問い合わせください。
この記事について
AXメディアは、株式会社ジーズ AX事業部が運営しています。AX事業部では、AI研修・AIエージェント開発とあわせて、補助金・助成金の活用支援を提供しています。本記事は、公募要領・公式サイトなどの一次情報をもとに、AI導入を検討する中小企業の視点で整理しています。

