Google検索のAI OverviewやAI Mode、ChatGPT、Gemini、Perplexityなどの普及によって、人が情報を探す方法は大きく変わり始めています。
これまでのSEOでは、検索順位を上げてWebサイトへのクリックを増やすことが中心でした。しかしAI検索では、検索結果を開かなくても、AIが複数の情報源を整理して回答してくれます。
そのため企業は、従来の検索順位だけでなく、AIの回答に自社が登場しているか、正しい情報が引用されているか、比較候補に入っているかまで確認する必要があります。
本記事では、米国のSEO会社First Page Sageが2026年8月に公開した調査を中心に、AIがWebサイト流入へ与えている影響と、企業が今から取り組むべきSEO・AIO対策を解説します。
この記事でわかること(結論)
- 自然検索の変化:First Page Sageがサイト成長率などを調整し、2023年以前の成長率を基準に算出したところ、自然検索セッション量は23.6%の減少と評価された
- AI流入の拡大:AIプラットフォーム経由の流入比率は0.1%から6.2%へ拡大した
- AI Overviewの影響:AI Overviewが表示された検索では、クリック数が減る一方、訪問後の滞在や問い合わせ率は高かった
- 影響を受けやすい検索:情報収集型の記事ほど影響が大きく、購入・予約・問い合わせに近い検索は比較的影響が小さい
- 今後のSEO:SEOが不要になるのではなく、SEOを土台に「AIが理解・引用できる情報設計」を加える必要がある
218サイト・約34億セッションを分析した2026年調査
First Page Sageの「AI Impact on Website Traffic: 2026 Report」は、2023年1月から2026年7月までの期間を対象に、12業種・218の顧客サイト、約34億セッションを分析したものです。
対象には、GoogleのAI OverviewとAI Modeに加え、ChatGPT、Gemini、Perplexity、Claude、Copilotから直接訪れたユーザーも含まれています。サイト自体の成長、季節変動、広告費などを調整し、検索行動の変化を分析しています。
調査結果を見る前に押さえたい注意点
ただし、これはFirst Page Sageの顧客サイトを対象にした独自調査です。世界中のWebサイトや日本市場全体をそのまま表す統計ではなく、AIと流入減少の因果関係を決定的に証明するものでもありません。また、公開レポートでは業種ごとの対象サイト数、国別構成、生データ、信頼区間などは開示されていません。そのため、各数値は日本市場全体を示す確定値ではなく、検索行動の変化を捉える参考値として扱う必要があります。
なお、同社が示す「減少」は、2023年以前の成長率を基準にした反実仮想との比較です。実際の訪問数が増えていても、その増加率が基準を下回った場合は減少として扱われます。数値そのものだけでなく、複数の調査で共通して見られる「AI回答が増えるほど、検索結果からのクリックが減りやすい」という方向性を捉えることが重要です。
自然検索は最大の流入源だが、AI経由の流入が急増
同調査によると、自然検索は2026年7月時点でもWebサイト流入全体の42.8%を占め、最大の流入源でした。一方で、2023年1月の51.3%から比率を落とし、反実仮想との比較では、調整後のセッション量が23.6%減少したと評価されています。
| 流入元 | 2023年1月の構成比 | 2026年7月の構成比 | 調整後のセッション量変化 |
|---|---|---|---|
| 自然検索 | 51.3% | 42.8% | −23.6% |
| ダイレクト流入 | 21.7% | 24.3% | +2.6% |
| 有料検索 | 11.2% | 13.5% | +10.4% |
| AIプラットフォーム | 0.1% | 6.2% | +5,580% |
AI流入の増加だけでは自然検索の減少分を補えない
AI経由の流入は、2023年当初の0.1%から6.2%まで伸びました。まだ自然検索に代わる規模ではありませんが、すでに同調査内ではSNS経由の流入を上回っています。
重要なのは、自然検索から失われたアクセスが、そのままAI経由のアクセスへ置き換わっているわけではないことです。ユーザーの疑問がAIの回答だけで解決され、Webサイトへの訪問自体が発生しないケースが増えています。

最も影響を受けるのは「情報収集型」の検索
すべての検索が同じようにAIへ置き換わるわけではありません。調査では、「○○とは」「○○の方法」「○○の原因」といった情報収集型の検索で、自然検索流入が43.9%減少しました。
| 検索目的 | 自然検索流入の変化 | ゼロクリック率 |
|---|---|---|
| 情報収集 | −43.9% | 91.7% |
| 特定企業・サイトの検索 | −19.4% | 76.3% |
| 商品・サービスの比較検討 | −14.2% | 58.1% |
| 購入・予約・申込み | −5.7% | 37.2% |
AIだけで完結しやすい検索と、サイト訪問が残る検索
AIが説明しやすい一般的な質問ほど、回答画面だけで検索が終わりやすくなります。一方、価格比較、店舗選び、予約、購入、問い合わせなど、最終的に具体的な行動が必要な検索では、Webサイトを訪問する必要性が残ります。
企業は意思決定を支援する情報を増やす
企業のコンテンツ戦略も、アクセス数だけを狙った一般解説記事から、次のような意思決定を支援する情報へ比重を移す必要があります。
- 自社と他の選択肢の違い
- 料金、対象者、利用条件
- 導入事例や実績
- 失敗しやすいケースと注意点
- 店舗、在庫、予約などの最新情報
- 専門家や現場担当者による独自見解

AI Overview表示時はクリックが減少し、クリック後の指標は高い傾向
First Page Sageの分析では、AI Overviewが表示されない場合、Google検索1位のクリック率は27.4%でした。AI Overviewが表示されると11.8%になり、相対的に56.9%減少しています。
また、検索結果が1,000回表示された場合の自然検索クリック数は、AI Overviewなしの87回から、表示ありでは36回へ減少しました。一方、同調査では、AI Overview表示後にクリックしたユーザーの平均滞在時間は23.0%長く、訪問者から見込み客への転換率は、非表示時の1.7%に対して2.6%でした。これは調査対象内で確認された傾向であり、AI Overviewが訪問者の質を直接高めたと証明するものではありません。
Pew Researchでもクリック減少の傾向が確認されている
この傾向は別の調査でも確認されています。Pew Research Centerの米国ユーザー調査では、AI要約が表示された検索で通常の検索結果がクリックされた割合は8%、表示されなかった検索では15%でした。AI要約内の出典リンクがクリックされた割合は1%でした。
両調査は対象者や計測方法が異なるため単純比較はできませんが、AI回答によってクリック総数は減少しやすいという点は共通しています。
クリック数だけでは捉えにくい行動もある
ただし、クリックしないユーザーがすべて失われた見込み客とは限りません。会社名や商品名をAI回答で知った後、改めて指名検索する、店舗へ直接電話する、別の端末からアクセスするといった行動は、通常のアクセス解析では追い切れない場合があります。
これからはPVや検索順位だけでなく、問い合わせ、商談、予約、指名検索、AI回答内での引用や候補入りまで含めて評価する必要があります。
AI経由のユーザーは問い合わせ・成約に近い可能性がある
同調査では、ChatGPT経由ユーザーの「訪問者から見込み客への転換率」は4.7%で、Google自然検索の1.9%を上回りました。見込み客から顧客への転換率も、ChatGPTは21.3%、Google自然検索は13.7%でした。
これは、AI経由のユーザーが必ず優良顧客になるという意味ではありません。AIとの対話で基礎情報の収集や比較を済ませ、検討が進んだ段階でWebサイトを訪れている可能性があります。また、業種やサイトによって大きな差が出る点にも注意が必要です。
経営上は、AI経由流入を単純なアクセス増加施策として見るより、比較・検討が進んだユーザーとの新しい接点として捉える方が適切です。

業種によってAIの影響は大きく異なる
自然検索流入の減少が大きかったのは、メディア・出版の47.3%、教育の41.8%、医療の38.2%でした。一般知識や解説をAIが回答しやすい業種ほど、サイト訪問前に疑問が解消されやすいと考えられます。
一方、地域サービスは6.8%、不動産は9.2%、EC・小売は11.6%の減少にとどまりました。場所、在庫、価格、予約など、最新かつ具体的な情報を確認する必要がある検索では、依然としてWebサイトや店舗情報へのアクセスが必要だからです。
地域ビジネスでも情報の最新性と一貫性が重要
ただし、地域ビジネスがAI検索対策をしなくてよいわけではありません。Googleの公式ガイドでは、GoogleビジネスプロフィールやMerchant Centerの情報を最新に保つことが、通常検索だけでなくAI回答での商品・サービス・地域事業者の表示にも役立つと説明されています。
店舗や拠点を持つ企業では、Webサイト、Googleビジネスプロフィール、ポータルサイト、SNSなどで、住所・営業時間・料金・サービス内容が食い違わないよう管理することが重要です。
SEOは不要にならない。AIOはSEOの置き換えではなく拡張
AI検索が広がると、「今後はSEOが不要になる」「AI専用の特殊な対策が必要になる」と考えがちです。しかしGoogleは、AI OverviewやAI Modeに掲載されるための特別な技術要件はなく、従来のSEOの基本が引き続き重要だと説明しています。
Google Search Centralの公式資料によると、AI検索上で参照されるための前提は、ページがクロール・インデックス可能であり、通常のGoogle検索で表示対象になっていることです。
具体的には、次の基本項目が重要です。
- 検索エンジンがページをクロールできる
- 重要な情報が画像だけでなくテキストでも掲載されている
- 内部リンクで関連ページを見つけやすくする
- 表示内容と構造化データを一致させる
- ページの表示速度や使いやすさを整える
- Googleビジネスプロフィールなどの情報を最新に保つ
- 独自性があり、信頼できる、人の役に立つ情報を発信する
AI専用ファイルや特別なマークアップは不要
Googleは、AI検索に表示されるためだけの特別なschema.orgマークアップやAI用ファイルは不要としています。llms.txtについても、Google検索での表示や順位を直接高めるものではないと公式ガイドで説明されています。
ただし、これはGoogleのAI OverviewとAI Modeに関する公式見解です。ChatGPT、Claude、Perplexityなど、他社AIサービスの情報選定基準を示すものではありません。
つまりAIO対策は、裏技や専用ファイルを追加することではありません。SEOの基盤を整えたうえで、AIが企業やサービスの特徴を正確に理解できるよう、情報の一貫性、具体性、独自性、更新性を高める取り組みです。
企業が取り組むべき5つのSEO・AIO対策
1.自社に関する「正しい事実」を整理する
会社概要、サービス内容、料金、対象地域、実績、運営者、問い合わせ方法などを整理し、公式サイト上に明確に掲載します。複数のページや外部媒体で内容が食い違っている場合は、正しい情報へ統一します。
2.一般論ではなく、比較・判断に役立つ情報を増やす
AIが簡単に回答できる一般的な説明だけでは、サイトを訪れる理由が弱くなります。料金の考え方、選び方、導入事例、専門家の見解、独自データなど、その会社だから提供できる情報を増やすことが重要です。
3.誰が、何を根拠に発信しているかを明確にする
著者や監修者、調査方法、更新日、引用元を明示します。AIで記事を大量生成するだけではなく、人による事実確認と独自情報を加えます。Googleも、生成AIを使って付加価値の乏しいページを大量作成する行為はスパムポリシーに抵触する可能性があると公式に案内しています。
4.SEOの技術基盤を点検する
クロール、インデックス、内部リンク、タイトル、見出し、構造化データ、モバイル表示、ページ速度を確認します。AI検索もWeb上の情報を取得できなければ、自社を回答の根拠として扱えません。
5.検索順位以外の指標も継続して確認する
従来の順位・表示回数・クリック数に加え、次の項目も定点観測します。
- ChatGPT、Gemini、GoogleのAI機能などで自社が候補に入るか
- AI回答の引用元として自社サイトが表示されるか
- 会社・店舗・商品の説明に誤情報がないか
- AIプラットフォーム経由の流入と問い合わせ数
- 指名検索、予約、電話、商談への変化
- 競合と比べて不足している情報
Google検索内のAI機能についてはSearch Console、サイト訪問後の行動はアクセス解析で確認します。Googleの生成AI専用パフォーマンスレポートは一部サイトへ段階的に提供されており、未提供の場合もAI機能のデータは通常のWeb検索パフォーマンスに含まれます。一方、ChatGPTやGeminiなど各AIサービスの回答内容は変化するため、重要な質問を決めて定期的に実測する必要があります。

自社がAI上でどう紹介されているか、確認できていますか?
AI検索への対応を進めるには、最初に「現在、AIからどのように見られているか」を把握する必要があります。しかし、AIの回答は質問内容、利用するサービス、実行時期などによって変化するため、一度の検索だけで判断するのは困難です。
株式会社ジーズが提供する「AIOインサイト」は、ChatGPT・Gemini・ClaudeなどのAIに実際に質問し、自社やサービスがどのように扱われているかを可視化するAI検索診断サービスです。
AIOインサイトで確認する主な項目
主に次の項目を確認します。
- 自社やサービスが比較候補に入っているか
- 自社サイトが回答の情報源として引用されているか
- 会社、店舗、商品、サービスの説明に誤情報がないか
- 競合企業と比べて不足している情報は何か
- 質問や実行時期が変わっても回答が安定しているか
診断結果をもとに、公式サイト、FAQ、店舗・サービス情報、記事などの改善優先順位を整理します。必要に応じて情報整備やページ改善を行い、その後も継続的に実測することで、改善前後の変化を確認します。
AIOインサイトは、AIへの表示や推薦、アクセス数、問い合わせ、売上を保証するサービスではありません。AI検索上の現在地を事実ベースで把握し、企業の情報を正確に理解・参照してもらいやすい状態へ整えるためのサービスです。

パチンコホールに特化した「ホールAIO」
株式会社ジーズでは、パチンコホール向けのAI検索対策・店舗情報整備支援「ホールAIO」も提供しています。
ChatGPT・Gemini・Claudeを対象に、店舗名やエリアに関する質問を定期的に実測。比較候補への入り方、引用元、競合との差、不足情報、誤情報、回答の変化を可視化します。その結果をもとに、公式ページや店舗情報、FAQなどの改善まで支援します。
ホールAIOも集客や売上を保証するものではなく、AI検索で店舗が正しく理解され、比較候補に入りやすい状態を整えることを目的としています。
まとめ:アクセス数だけでなく「AI上でどう扱われているか」を見る時代へ
AI検索の普及によって、情報収集型の検索を中心に、Webサイトへ移動せずに答えを得る行動が増えています。その結果、従来と同じ検索順位を維持していても、クリック数が減る可能性があります。
一方で、AIから実際にサイトへ訪れるユーザーは、すでに情報収集や比較を進めている可能性があります。企業が見るべきなのはアクセス数の増減だけではなく、AI回答内で自社が正しく説明され、比較候補や引用元に入っているか、その後の問い合わせや商談につながっているかです。
これからのSEOでは、「検索結果で上位に表示されること」に加えて、AIが回答を作る際に参照できる、正確で独自性のある情報を継続的に整備することが重要になります。
まずは、自社や主力サービスについて顧客が尋ねそうな質問を洗い出し、主要なAIでどのように回答されるかを確認することから始めるとよいでしょう。
よくある質問
AI Overviewが表示されるとクリックは減りますか?
First Page Sageの分析では、AI Overviewが表示されない場合、Google検索1位のクリック率は27.4%でした。AI Overviewが表示されると11.8%になり、相対的に56.9%減少しています。
AI検索が広がるとSEOは不要になりますか?
AI検索が広がると、「今後はSEOが不要になる」「AI専用の特殊な対策が必要になる」と考えがちです。しかしGoogleは、AI OverviewやAI Modeに掲載されるための特別な技術要件はなく、従来のSEOの基本が引き続き重要だと説明しています。
AI検索の影響はすべての検索目的で同じですか?
すべての検索が同じようにAIへ置き換わるわけではありません。調査では、「○○とは」「○○の方法」「○○の原因」といった情報収集型の検索で、自然検索流入が43.9%減少しました。
企業はSEO・AIO対策で何から始めればよいですか?
会社概要、サービス内容、料金、対象地域、実績、運営者、問い合わせ方法などを整理し、公式サイト上に明確に掲載します。複数のページや外部媒体で内容が食い違っている場合は、正しい情報へ統一します。
出典・参考資料
- First Page Sage, “AI Impact on Website Traffic: 2026 Report”(2026年8月25日公開)
- Google Search Central, “AI features and your website”
- Google Search Central, “Optimizing your website for generative AI features on Google Search”
- Google Search Central, “Google Search's guidance on using generative AI content on your website”
- Pew Research Center, “Google users are less likely to click on links when an AI summary appears in the results”(2025年7月22日公開)
- Google Search Console Help, “Generative AI performance report (Search)”
※本記事は上記公開情報をもとにAXメディア編集部が独自に再構成・解説したものです。調査数値は対象、期間、計測方法によって変わるため、すべての業種・サイトに同じ結果が生じることを示すものではありません。外部情報の最終確認日は2026年8月27日です。
運営元について
AXメディアは、株式会社ジーズ AX事業部が運営しています。AX事業部では、AI研修・AIエージェント開発・ローカルLLM開発・補助金/助成金の活用支援を提供しています。

